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【音に駆ける×榊原花梨(クラリネット奏者)】 記事企画

 

8月20日9月9日にCD発売記念コンサートを開催される榊原花梨さん。リハーサルの合間をぬって取材をさせていただきました。日野真奈美さん(フルート)、中野正英さん(エレクトーン)も登場されます!

音楽の道に復帰すると決めた日から

――8月20日にCD発売とコンサート開催を控えていますが、CDというパッケージを発売するきっかけはなんでしたか。

榊原花梨:実は6、7年楽器をやっていなかった時期があったんです。また音楽の世界に戻ろうと思った時に、クラリネットの巨匠である藤井先生という方のところに相談に行きました。先生はとても柔軟で、私の活動を理解してくださいまして。その後、知己のレーベルでCDを出してみないかとも紹介してくれたんです。

――復帰しよう、と思うにいたる背景に先生が関心をもってくれたのですね

榊原花梨:そうかもしれません。枠をとったからやってみないかと言ってくれまして。「自分で考えてトライすればよい」という形でしたので、発売と同時にコンサートもしようと思って今回のコンサートも早々にやることを決めました。

――他に3人、サポートメンバーの方々と演奏されるかと思います。今日はお2人に同席いただいていますが、どういう構成を考えてこのメンバーだったのでしょうか。

榊原花梨:今日不在の方はピアノを担当されているのですが、彼女にまずお願いしていまして。彼女は今現役の大学生なんです。藤井先生の紹介で出会ったのですが、作曲・編曲も手掛けるということで、CDの収録曲のアレンジからご一緒してもらいました。

――最初からだったんですね

榊原花梨,中野正英,日野真奈美

 

榊原花梨:あとの2人は大学の先輩です。フルート奏者の日野さんは学生時代から存じ上げていて、その後の活も拝見しながら、いつかご一緒できたらいいなと思っていたんです。

日野真奈美:わぁ、光栄だなぁ…!

榊原花梨:管楽器でソロでの仕事を続けていくのは、並大抵の心身の強さがないとできないと思っているのですが、いつもにこにことされていて。どこにそのエネルギーがあるのだろうと思わせられる方です。

日野真奈美オフィシャルサイト|プロフィール

――音大を出た後のキャリアの積み方は難しい、と聞いたことはありますが、日野さんは自ら切り拓いてこられている方なんですね

榊原花梨:忙しいのに17ライブも毎朝開かれていて、たくさんの人が視聴されています。時間の使い方から見習いたいところですね!

――中野さんはどういうご縁ですか?

榊原花梨:同じく大学の先輩なのですが、学生時代は特に接点はなく、私が17ライブをしているなかで出会いました。

――なるほど

中野正英:私はエレクトーンなので電子オルガン科というところにいたのですが、大学だと管、弦、打楽器、鍵盤楽器とそれぞれ建物も違っていますからね。

中野正英(エレクトーンプレイヤー)

 

榊原花梨:何回か仕事をご一緒するなかで、「こういう感じで、この尺で」と言ったら、すぐ「できました」と返事が来るんです。本当に仕事が早くて中身も充実していて。ライブ配信でやった曲もいくつか中野さんにお願いしたものがあります。

――信頼が厚いわけですね

榊原花梨:エレクトーンはオールマイティに、ピアノでは出せない音があるので、1人オーケストラみたいな感じで合わせてもらえる感覚があるんです。中野さんにお願いするときっとうまくいくという安心感をすごくもっています。

中学校の吹奏楽部で出会ったクラリネットで生きていく

――榊原さんがクラリネットに出会ったきっかけは何ですか?

榊原花梨:中学校の吹奏楽部で始めたというのがきっかけです。もともと陸上部に入りたかったのですが部活がなくて。やむを得ず吹奏楽部に入ったんです。しかも、その時クラリネットパートの人が足りなくて、まあいいかと(笑)。母が音楽好きでコンサートなどは行っていたのですが、それまではまったく関心もなく、もっぱらスポーツに目が向いていました。

――まさかそれで食べていくことになるとは、ですね

榊原花梨:
そうなんです。たまたますごく恵まれていたんです。国立音大を出た講師の先生がクラリネットのパート指導に入って、環境が充実していました。そのなかで「個人レッスンもどうか」という話から始まり、音楽高校に入って大学も音楽へ……となりました。

――クラリネットにはまったという自覚したタイミングはありますか?

榊原花梨:
中学の時ですね。凝り性なので、そのことしか考えられなくなる生活が始まって。クラリネットは学校の備品をずっと使っていたのですが、毎日家でも吹いて、朝練も昼練も夕方も。もうオタクですよね(笑)。

――皆さんは「今回一緒にステージに立ってもらえないか」と言われたとき、どんな印象だったのでしょう

日野真奈美:
私はそれまで交流がなかったので、なぜ私に声をかけてくれたんだろうと思いました。実は長時間話すのは今日が初めてくらいです笑。17ライブで活躍されているのは知っていたのですが。

――ようやく今、印象が深まったところですかね

日野真奈美:
他の人とは違う視点で人を見ている気がして、後輩を育てるのにも向いていそうだな……と、実は思っていました。探究心があるんだろうなとも思っていたので、今回ご一緒できてよかったです。

榊原花梨:
いやー、日野さんこそ人との付き合い方がうまくて、もっと学びたいですね!

 

――中野さんはいかがでしたか

中野正英:
ライブ配信のアプリで知り合って新たな縁が広がりました。クラリネットでどこまでのアレンジが可能かどうかもわからず、やり取りをこまめにしながら進めることが多いのですが、そのやり取りがスムーズで仕事しやすいなと思っています。

――エレクトーンという電子楽器は、合奏でどういう位置付けになるのでしょうか

中野正英:
例えばこの3人で何か演奏することになったら、クラリネット、フルート以外のパートを全部担う感じでしょうか。50パートくらい担当しているような感覚ですね。

 

プライベートの過ごしかたは三者三様

――ちなみに皆さん、音楽以外の趣味やマイブームは何かありますか?

日野真奈美:何だろう……好きなのは神社巡りですね。神社の空間が好きなんです。

――お気に入りのスポットは?

日野真奈美:阿佐ヶ谷神明宮!スピリチュアルを求めてというわけではなくて、行くと元気になれるというか、気持ちが明るくなれるんです。

――大木とか木造建築の神殿とかの感じがよさそうですね

日野真奈美:
ジャズピアニストの山下先生がライブもされるような場所なのですけれど、かなり広い空間が広がっていて気持ちいいです。

――中野さんはいかがですか?

中野正英:僕は鍼とかマッサージとかですかね。2年くらい前に目眩もちになってしまって。そこから身体の状態に気を遣うようになりました。カッピングもいったりします。

榊原花梨:
いいですね! 私もそういう話が大好きです!

 

――鍵盤楽器のかたは爪のケアが欠かせないとか

中野正英:
職業柄、爪はひどいことになりがちです。押したり揺らしたりというのが多いので、キーボードを弾く人は結構爪が荒れがちだと思います。

――榊原さんはどうですか?

榊原花梨:もともとはジムとか銭湯通いが好きだったのですが、コロナ禍でなかなかいけなくて。実はひそやかな楽しみが、Youtube動画で見る霊媒師や陰陽師を、本物か偽物かと自分なりに検証するという(笑)。

――着眼点がおもしろいですね!

榊原花梨:もし偽物だったらいったいどういう心情でやっているんだろう……みたいなところまで想像して、楽しんじゃっています。

コンサートは映画音楽がテーマに

――今回映画音楽がテーマのコンサートだと思いますが、クラシック音楽と異なって、ポピュラー音楽を演奏する特有のむずかしさはあるのですか?

榊原花梨:曲にもよるのですが、例えば「ニューシネマパラダイス」ですと、もともと違う楽器で奏でているものをクラリネットで吹く。「ドリームガールズ」の場合は歌を楽器にする。「ありがとう」というフレーズを同じリズムで吹いても何かが違うので、どこを切り捨ててどこを足すかというのが難しいところです。

――なるほど。コンサートがますます楽しみですね。今回のコンサートは目標のひとつでもあると思うのですが、では榊原さんが考えている今後の展望を教えてください

榊原花梨:できる限り自分が演奏家として前に出たいですが、後進の育成にも興味があります。音大を出て活動をしたくでも何をしたらいいかわからない方がたくさんいるので、そういう教育をしていけたらいいなと。演奏のことはどの方も専門的にやっているのですが、たぶん演奏以外で何をしたらよいかわからない方が多いのではないかと思っています。

――音楽で食べていくためには何をする必要があるかというところですかね

榊原花梨:そうですね。今の時代、演奏が上手ければいいだけではなくて、本当にいろんな道すじがあって、飛躍できることがある。そういう時代でもあるので、幾つもある道すじを教えてあげられるようになれたらいいなと思っています。

――音楽家版のキャリア教育みたいなことですね

榊原花梨:そうかもしれません。一方で、限界まで自分が前に出たいというのはあるので、まずはそこからですね。

 

日野真奈美:私は8月20日の東京公演に出演させていただきます。コンサートを少しでも盛り上げられるように。そして花梨ちゃんにとっての素敵な会になるように頑張りたいと思いますので、皆さんぜひ銀座に集合を、よろしくお願いいたします。

中野正英:とても素敵なコンサートになるよう、僕も精一杯サポートさせていただきたいなと思っておりますので、ぜひ皆様応援してください。

榊原花梨:東京公演が8月20日、浜松公演が9月9日にあります。内容が映画音楽なので、音楽に普段慣れ親しんでない方も、全員がわかる曲として楽しめるようになっています。多くの皆さんのお越しをお待ちしています!

 

 

榊原花梨CD発売記念コンサートチケットはこちらから

eplus.jp

konzert.lumiades.co.jp

榊原花梨(クラリネット奏者)Twitter   Youtube 17LIVE
国立音楽大学クラリネット専修卒業、在学中アレッサンドロ・カルボナーレ、アントニオ・サイオテ各氏のマスタークラスを受講。クラリネット協会主催、第1回クラリネットアンサンブルコンクール第3位受賞。ネットアンサンブルコンクール第2位(1位はなし)及びパルテノン多摩賞受賞。オーディション通過者による第17回静岡の名手たちに出演。静岡県警察音楽隊に所属、退職後は東京を拠点にフリーにて活動。オーケストラによるコンチェルト経験あり。インターネット上では「つぶかりん」として活動中。